OIGENの取扱説明書に
鋳物製品の製造過程においては完全に解消されえないもの・・・
「微細なくぼみ」と「バリ」
の項目があります。
「微細なくぼみ」についてお話したいと思います。
取扱説明書には、
「型に砂を使う」ことでできる「微細なくぼみ」
鋳物製品は造型の型に砂を使います。その砂型の空洞に熔かした鉄を流し込み造型したものが鉄鋳物製品です。砂粒の大小により造型中にできる微細なくぼみはご使用にはさしつかえありません。
と書いています。
砂は自然なモノ。押し固められて型となった砂粒に1500℃の鉄がこすった時に凄い熱や力を与えられ砂が少し飛び出してしまったり穴ぽこ(微細なくぼみ)があいてしまったりするのです。
それが鋳物に写し取られます。砂の変化は鋳物にコピーされるのです。
その飛び出したものは、お客様の手が触れた時に「ちくっ」とする凸ですので、仕上工程で一つ一つタガネでコンコンと落とします。
しかし穴ぽこ(微細なくぼみ)は、そのまま良品とするか、捨てるかの選択になります。
この穴ぽこ鉄器を助けるためには、部門長の判断でそのまま良品と見なすか、または仕上の際に専用のパテで補修するか(食品が接触する面以外の底裏や側面のみ)、もしくは捨ててまた原材料とするか。
実際は、たくさんの穴ぽこ鉄器を今までは捨ててきました。
OIGENは鋳肌の美しさが誇りだからです。
捨てると言っても、鉄器はもう一度熔かして材料とすることができるので、致し方ない。材料としては無駄ではない。と考えてきました。
しかし、この自然現象の穴ぽこをまた熔かすために、コークスや電気を使って鉄を熔かし、余分にCO2を出して、また砂を使い、また人手を使うことが行われる。
資源と環境と人を思う時、この穴ぽこはOIGENに「ここは考え時だよ」と言っている気がします。
工場では、「美しい品物を出したいから、ダメなものは捨てる。もう一度作りなおす」と考えます。出荷担当は「美しい品物を受けとるお客様がいるのに、小さくても穴ぽこがあいている品物を受け取る方もいる。これは不公平ではないのか?」と思います。
しかし、私たち人間も一人一人違うように、鋳物も一つ一つ違います。
明らかな不良であればもちろん出荷はできませんし、それこそ鉄材料としてもう一度熔かします。
しかし、地球資源としての地層から掘り出し加工される鉄、気候変動問題に関係するCO2などの温室効果ガス、職人の努力の及ばない1500℃の流れ、
それらを考えると、この小さな穴ぽこ鉄器をダメなものとするのではなく、自然にできた可愛い個性を持って生まれたもの。と思って生かしていいのではないでしょうか?
そんな想いで、私たちは取扱説明書に、
「型に砂を使う」ことでできる「微細なくぼみ」
鋳物製品は造型の型に砂を使います。その砂型の空洞に熔かした鉄を流し込み造型したものが鉄鋳物製品です。砂粒の大小により造型中にできる微細なくぼみはご使用にはさしつかえありません。
と書かせて頂いています。
ご理解いただきますことをお願い申し上げます。