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奥州市で訪れるべき観光スポット 二大寺院

岩手県で訪れるべき観光スポット 二大寺院 編

素朴で静かな黒石寺と、雄大で厳かな正法寺
岩手県には、有名な中尊寺の他に、二軒の有名なお寺があります。水沢江刺駅から車で15分の黒石寺と、車で20分の正法寺。いずれも道中は人が少なく、景色が綺麗で、素朴な田舎の風景が見られる意外な、知る人ぞ知る奥州市の観光スポットです。

黒石寺

黒石寺は奈良時代に建てられ、1,300年にのぼる歴史があります。中国の歴史にすると、唐の時代にあたります。当時の日本は、積極的に中国から唐の文化を輸入していました。人々にも、仏教の力を通して国家の安泰を願う教えが広がっていました。
当時の奥州はまだまだ未開の地といわれ、冬は寒く、都の人たちと比べて生活が苦しかったそうです。そのため黒石寺を建て、ここに住む人々も、生活に満足し楽しく過ごすことができるよう、また病気にならないように、ご本尊の薬師如来を信奉してきました。

黒石寺を見学したい方は、普段は観光案内をする人がいないため、事前の予約が必要になります。
事前に電話で予約をしてみると、当日、黒石寺に着いたら住職の藤波さんが駐車場で私たちを待っていてくれました。
藤波さんはおよそ30代で、英語をとても流暢に操り、奥州市を初めて観光する人にも、分かりやすくお寺の紹介をしてくれました。
地元の人や観光客が持つ黒石寺に対してのイメージは、旧暦正月7日、8日に行われる「蘇民祭」という祭りです。それは、地元の男性が上半身裸でふんどしを着用し、雪が降るマイナスの気温の中たいまつに照らされながら、冷たい水をかぶりながら“蘇民袋”を奪い合い、災厄消除・五穀豊穣を祈願する祭りです、と住職が説明してくれました。
私が「参加する人はみんな風邪ひくのでは?」と聞いたら、「それも祭りの一部ですよ」と住職は微笑みながら話しました。




有名な黒石寺の蘇民祭(出典:黒石寺を紹介する書籍)

黒石寺は、1,300年にわたる歴史の中に、5回もの火事に遭いました。中でも5回目の火事(1,881年)で、当時の建物はほとんど焼失してしまいました。幸いにも当時の人々は、薬師如来坐像だけは救出することが出来、災難を逃れることが出来ました。
焼けた仏像は、完璧な状態とは言えませんでしたが、地元の人々は修復をせずに、当時のままの姿を大事に保存することにしたのです。


観光ポイント★ 1,300年の歴史を語る、5回の災難をくぐりぬけた薬師如来像(出典は黒石寺を紹介する書籍)

ご本尊の薬師如来坐像はもともと金箔に覆われていたのですが、度重なる火災や年月を経て、金箔はほとんど剥がれてしましました。
周りの小さな薬師如来像にも傷がついていましたが、それでも、荘厳で凛々とした表情は変わっていません。これまでこの地では、多くの災害や戦いが続きましたが、その優しい顔はまるで「私はずっとあなた達を守りますよ」と、そう地域の皆さんに話しかけているように私には感じられました。


写真中央に映る布の奥に、本来はご本尊の薬師如来坐像が祀られる場所がありました。現在は保存のため、お寺の近くにある別の部屋に移り、許可がない限り一般の人は入ってはいけないそうです。
布の前にあるのは、日光・月光菩薩立像で、外側の前方には四天王立像が見えます。四天王とは、東方の持国天、南方の増長天、西方の広目天と北方の多聞天の四体で構成されています。こちらの四天王立像は、ご本尊の薬師如来坐像と同じ木から作られたといわれてます。また四天王立像の後ろと両側には、後に作られた十二支を配する十二神将立像があります。
また黒石寺には、3代目天台宗座主・慈覚大師坐像も祀られており、これら合計20の仏像は、国と県の指定文化財で、こちらで大事に保存されています。


観光ポイント★ 
本殿の両脇にある狛犬は、他のお寺のものと違い、なんと“鋳物の町”ならではの鉄で作られています。正面右側に口が開いている「あ」の形をした一体と、左側に口が閉じていて「うん」と言っているもう一体が互いに向かい合っています。東京・浅草寺の金剛力士像の口も同じような形をしていますので、観光に訪れるときには確認してみて下さい。



11月の奥州市は、まだ緑がいっぱいです。12月からは雪が降ります。するとあたり一面の雪化粧でとても綺麗だそうです。
観光に訪れたい人は、必ず事前予約をお勧めします。そうすると、お寺のご住職の藤波さんが自ら案内してくれます。

黒石寺のホームページ→

 


 

正法寺

正法寺は、黒石寺から車で5分ほどのところにあります。素朴な黒石寺と違い、訪れるとすぐ「日本最大級の茅葺屋根」として知られている正法寺の大きな屋根が目に入り、奥州市の二大寺院、観光スポットとして十二分な迫力でした。


駐車場から見える日本最大級の茅葺屋根。冬の雪が屋根にかかった冬景色はきっと美しい。

茅葺屋根の他に、もう一つ有名な観光ポイントは『人間工学に反する』という私が付けた名前の石階段です。
身長175センチの私は、一般の階段を上がる時には大体足をかかとの位置の高さまで上げれば登れます。しかし、ここ正法寺の石階段は、足を膝の高さまで上げないと登れないくらい、一段の高さが高いのです。
実はこの石階段には、ここに来る人々はみんな平等という精神が込められています。その昔、お殿様のような権力者であっても馬から降りて、自分の足で登らなければならなかったそうです。


観光ポイント★ みんな平等の精神が表れる大きな石で作られた石階段


観光ポイント★ 石段を上がった後は、茅葺屋根が一層はっきり見えて、迫力満点!


正法寺の正殿は立入禁止で、中には『如意輪観音菩薩』と『釈迦三尊像』が祀られている。


当時の見学は右側の庫裡から入り、案内の僧侶とはこちらで待ち合わせ。

正法寺は東北地方有数のお寺で、案内をしてくれた僧侶の方いわく「各地から修行に来る僧侶は少なくありません」とのこと。どういった修行をするのかと聞いたら、「ここでの修行で最も大事なのは、座禅と瞑想です」と彼は答えました。
お寺に住み込みで修行する人たちには、一人一人の専門に合わせて仕事が振り分けられます。例えば、料理が上手な人が厨房に割り当てられる他、清掃担当の人が居たり、経理や買い物担当の人もいます。私を案内してくれた彼は、もともと学校の先生だったそうで、こうして案内の仕事を任されているのだそうです。観光の際は、ご自身にはどんな仕事が割り振られるのか聞いてみてはいかがでしょうか!?


本堂は撮影禁止のため、私たちはカメラを置いて、僧侶の案内通りに庫裡から法堂へ入ってみました。法堂には『如意輪観世音菩薩』と『釋迦三尊像』を祀られていて、法要が行われる場所です。


出典:正法寺のホームページ

続いて大きさおよそ10坪の僧堂に案内されました、それぞれ一帖の大きさで、約15名の僧侶たちがこちらで就寝や座禅をします。台湾の和尚と違って、日本の僧侶はあくまで“職業”としてであり、自由に行動が出来れば、結婚や肉を食べることにも制限がありません。ただし、ここで暮らす僧侶たちは、肉は他人からの寄付のみが認められ、購入はできないのだそうです。


観光ポイント★ 僧侶は一人で畳一帖ずつ使い、荷物は後ろの棚に置かれる。その小さな空間が、彼らの質素な生活を物語っている。(出典:正法寺ホームページ)

当日は境内の見学以外に、お寺で食べられる『精進料理』を予約して体験してみました。(精進料理とは、僧侶たちが毎日食べる料理のこと) 席に着いたら、すぐに料理が運ばれてきました。食べる前に僧侶たちは読経をしますが、その大まかな意味は、食事が出来ることに対しての神様への感謝です。


観光ポイント★ 精進料理【主食皿】:五穀ご飯、みそ汁、漬物、煮物、玉子、豆腐。食器はすべて漆器。


観光ポイント★ 精進料理【副食皿】:大豆製品と野菜。食器は南部鉄器!


汁椀の上に箸を5時と11時の方向に、置く場合は“食事中”という合図。

食器の中の料理を残さずに食べるのは作ってくれる人への敬意です。ただし、漬物の大根を一枚残しておきます。すると一人の僧侶が、各自の食器に水を入れてくれます。これは、残しておいたその漬物で食器を少し洗ってから、汁椀と蓋の順番に同じく洗った後に飲み干し、食事を終わらせる作法のためです。


観光ポイント★ 食事のあとに箸と冊子を持ち帰ってお土産に。

精進料理は質素な料理でしたので、レストランに出てくるようなものとは違います。しかし、作法は厳格に決められています。それらは、食事をしながらも食材を作った人への感謝の気持ちを感じるもので、とても貴重な経験でした。興味ある人はぜひ、予約して体験してみて下さい。


正法寺前での記念写真。


奥州市観光におススメな正法寺。拝観料などはホームページにて、ご確認ください。精進料理を食べてみたいという方はお電話で予約をお願いします。

正法寺ホームページ→


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