風土よみもの

鉄器ビギナーの私が鉄瓶デビューした話-岩手県奥州市で五感満足旅

(※取材は2019年9月28日・2020年3月2日に行われたものです)

日々の暮らしが雑になりがちな、アラサー・独身女性である南部鉄器初心者の小野が、気になって仕方がなかった鉄瓶デビューをしたお話と、南部鉄器がきっかけで出会った岩手県奥州市水沢の素敵なお寺についてご紹介します。

後編はこちら》1300年を生きる、知る人ぞ知る二大寺院-岩手県奥州市で五感満足旅

幸福度が上がる、鉄瓶のある暮らし

名前だけは小さな頃から耳にしていた存在「南部鉄器」。低体温が当たり前の朝が苦手な体と、仕事に追われ丁寧な暮らしに飢えていた私は、ふとしたきっかけから「南部鉄器で沸かしたお湯」で愉しむ白湯やお茶がとてもおいしい・健康にもいいらしいという話に、すっかりハートを掴まれてしまいました。

南部鉄器。調べれば調べるほど魅力的で、伝統的工芸品であること・職人さんが作り上げる手仕事というのも刺さりました。しかし何の知識もない素人…。「お気に入りを必ずお迎えしたい」という強い想いで、自宅のある仙台を中心に色々なお店に足を運ぶも、そもそも展示数が少なく中々巡り会えない。通販のWEBショップも色々見比べたけど、いまいちピンとこない。しかも見た目は同じだけど鉄瓶と鉄急須という種類に分けられるらしい。そしてどうやら私が求めているのは「鉄瓶」の方らしい…という曖昧な状態。

南部鉄器初心者にそびえる高いハードルに、いても立ってもいられず仙台を飛び出し南部鉄器を求める旅へ飛び出しました。 そして岩手県奥州市の工房で、幸いにも職人さんと顔を合わせて商品を購入する機会に飛び込むことができ、ついに念願の南部鉄器を手に入れることができました!幸せ!姿形はもちろん、職人さんの熱い想いやものづくりのストーリー丸ごと全てに心を掴まれ、大満足のお買い物ができた2019年。

しかし、お気に入りゆえに使うのがもったいなくなってしまい、しまいこむ貧乏性を発揮。しばらく家宝のようにしまわれてしまうmy鉄瓶。時が流れ2020年3月、前回鉄瓶を求めた旅とは違う場所に、南部鉄器がズラリと並ぶスポットがあると知り早速検索。しかも仙台駅から目的地までの最寄りの水沢江刺駅までは新幹線で約45分。さらにそこから目的地までは徒歩圏内。近い!これは行くしかない。善は急げ。

着きました!実際に移動してみて仙台からの近さを実感。気軽にスルっと来れちゃいました。駅から目的地までは徒歩約10分。新幹線移動を合わせても約1時間で目的地に着けちゃいます。水沢江刺駅からはお散歩気分で、周りの風景を楽しみながらトコトコ。当日はしっとりと雨の降るお天気でしたが、それもまた素敵です。道中は南部鉄器の産地ならではの遊び心が散りばめてあり、見つけながら歩くのも愉しいです。

ポストの上に鎮座する南部鉄器。さらに空飛ぶ鉄器も発見。

目的地が近づいてくるとカンカンカンと音が響いてきます。鉄を打つ音でしょうか。現地の温度感が伝わってきてワクワク度が増してきます。このエリア一帯は様々な南部鉄器の工房が立ち並んでおり、工場から聞こえる音や匂いに胸が高鳴ります。と、見えてきました!

可愛い手書きの矢印に促されて2階へ。

今回のお目当てスポット「オイゲンファクトリーショップ」に到着しました!山吹色の看板が目に飛び込んできます。早速中へ!

ファクトリーショップ

わー!鉄器がいっぱいの素敵空間…。もうこの時点で心が満たされたような気持ちになりつつある小野。そうです、これです。こういう風に色々な鉄瓶をひと所で見られる場所を探していました。

ズラリと並ぶ南部鉄器に胸が高鳴ります。シーンに合わせて使えるよう、暮らしに馴染む工夫がギュッと詰まった商品たち。洗練されたデザインの中に、900年磨かれ続けてきた伝統の技が光ります。商品にはそれぞれ、サイズ・熱源別などが分かりやすく記載されており、抜群の見比べやすさ。

鉄鍋シリーズや女性男性問わず人気上昇中というアウトドア用鉄器の他、直売所ならではの店舗限定商品も並び、まさにお宝の山。

さらに店内では、鉄瓶と電気ケトルで沸かした白湯の飲み比べもできちゃうそうで、南部鉄器初心者の私は思わず小躍り。飲み比べてみてその違いにドキっとします。鉄瓶で沸かした白湯の方が「まあるい口当たり」に。
どうして口当たりが変化するのか、そんなお話をお聞きしながら、実際に鉄瓶を使い始める際にオススメのお水や鉄瓶を育てる楽しみをショップのスタッフさんが丁寧に教えてくれます。
鉄瓶で沸かした白湯には血行を促進効果から、女性に多い体の冷えや頭痛・肩こりの改善、肌荒れ防止や美肌効果、不足しがちな鉄分の補給も期待できるとあって嬉しいこと尽くめ。
ズボラな私でも朝の身支度中やお風呂上がりに、この白湯習慣。これならできる。むしろこれが楽しみで朝起きるのが楽しくなりそうです。

ファクトリーショップ

その他にも、鉄瓶がどのようにして作られているのか、鉄瓶や鉄鍋の始め方、活用方法、お手入れ方法、さらにはレシピまでを丁寧に教えていただけるので、初心者さんはもちろん、日々使っているという鉄器玄人さんまでがビビッと刺激をもらえるスポットです。OIGENファクトリーショップはもちろん、近隣を観光お散歩がてらひと息つくのもいいですね。

幸福度がぽっと上がる体験&出会いがあるOIGENファクトリーショップ。900年磨かれ続けた職人技が活きる暮らしの道具が、身近にある豊かさが体験でき、気持ちをふわっとアップデートしてくれるスポットでした。ショップ内でお気に入りと目が合ったなら、それがあなたの暮らしを豊かにするスイッチになってくれるかも知れません。

OIGENファクトリーショップで目が合った、瓶敷

鉄瓶の相棒用に瓶敷を探していた小野。OIGENファクトリーショップで目が合ったこちらを迷わず購入しました。松模様で、よく見ると松ぼっくりが3つ、他の模様よりも立体的に描かれています。この松ぼっくりに惹かれて決めました。

これは、瓶敷を使っていくうちに経年変化で松ぼっくり部分が先にツヤツヤっとなるのでは…と想像して思わずにんまり。長く使える暮らしの道具だからこその楽しみ方がありますね。

お家で実践 南部鉄器初心者の鉄瓶デビュー

OIGENファクトリーショップでのお話で一番印象的だった言葉があります。それは「鉄瓶は普段使いすることが一番のお手入れになるよ!」というもの。伝統工芸品だし…と、大切にするあまりなかなか使い出せずにいた私は目からポロポロうろこが落ちました。
使い始める際のポイントをお聞きし、お家で早速実践。鉄瓶の中を水で軽くすすぎ、8分目まで水を入れ沸騰させて捨てる、を2〜3回繰り返します。沸騰させる水のオススメは100mlあたり硬度300mg程の硬水が程よいということで、エビアン(100mlあたり硬度304mg)を使用しました。

水の中に含まれるミネラルやカルシウムが鉄瓶内部に白い結晶(湯垢)として現れ、内部がサビるのを防いでくれるため、使い始める前段階に硬水を使用するとより効果的なのだとか。 沸騰後お湯を捨てると、内部に残る水分が余熱で蒸発していきます。すると、まるで霜が降るように白い結晶がスーッと現れてきました。
2回目・3回目と繰り返していくと、1回目よりも白い結晶が広く伸びていきます。

この白い結晶(湯垢)を育てることで、サビにくくなるだけでなく、よりお水がまろやかでおいしくなるということで、ちょっとした特別感が日常に仲間入りを果たしました。これから育てつつ鉄瓶とのお付き合いが愉しみです。 後編に続く》

文・写真:kumiki 小野 千怜 1990年生まれ。 宮城県丸森町出身。 大学で音楽を専攻し卒業後は8年間フリーマガジンの編集として数々の記事を執筆する他、 女性ターゲットのイベントを企画し「好き」に出会えるきっかけを提案。 2019年11月よりフリー編集者として活動中。


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