及源鋳造のものづくり

南部鉄器の急須が海を渡って愛されるわけ

最近、「パリで人気の南部鉄器のカラーTeapot」が、売り場をにぎわせています。
日本人バイヤーがヨーロッパに行った際に、売られている南部鉄器のカラフルなカラー急須に気が付いて、きっと驚いたのでしょう。
「えっ!これって岩手のあの南部鉄器?」

そうです。あの岩手の南部鉄器です。


(10年以上前にドイツで購入した雑誌)

海外への鉄急須の紹介は、40年以上前に日本貿易振興機構(ジェトロ)の海外進出援助を受け、東北6県で合同のブースをドイツ・フランクフルトの見本市に持って行ったことから始まっています。
そのころから、茶器・特に内部にホーローを引いた急須は輸出されていたのです。
お寿司ブームから日本茶に、そして急須に。和の文化の一つとして鉄急須は海を越えて認められていったのではないでしょうか?
今になって、日本でこんな話題になろうとはつゆ知らず、私たちは、自分たちの商品が海を超えていることを国内では伝えてきませんでした。
当たり前のこととして、海外の得意先と一緒に商品開発を行い、色の開発を行っていたのです。

2006年か2007年(だったと思います)に、経済産業大臣が東北に来る機会があり、県代表としてご指名がありまして社長の及川が一緒にランチを食べることになりました。
その時、下の写真を持参して、南部鉄器も海外輸出していますよ!とお伝えしたのです。

(及川撮影)

大臣は驚いていましたが、それを見た周りにいた担当の役人の皆さんもびっくりしていました。
その後です、各方面からの南部鉄器の急須の輸出についての取材を頂きました。
とても珍しいことだったのですね、私たちが輸出をしていることが。。。

まさか!あの南部鉄器がパリ!!という感じでしょうか?

国内でもカラー急須の話題は瞬く間に取り上げられ、大ブームとなりました。
(しかし、OIGENでは海外のお客様とのお話の中で、カラー急須はライフスタイルに添った彼らのリクエストであったこともあり、国内での急須の販売は、黒色を中心に行っております)

(パリのお茶屋さんのウィンドウ)

今から10年前、パリでお茶の専門店をお持ちの社長がOIGENを訪ねていらしたときにインタビューしたことがありますので以下にご紹介いたします。

Q:なぜ南部鉄器の急須がパリで人気なのでしょうか?
A:おそらくですが、フランス人は、日本の伝統的なもの、特に鉄急須に対して熱狂的な指示があると思います。鉄の急須は保温性が良いので。
鉄の急須のデザインはとても端正で、モダンと古風が一度に表現されていて、それがお客様に好まれています。それはちょうど「お茶」と同じように、伝統とモダンの混在なのです。
お茶は、中国と日本で何世紀にもわたって存在し、「茶の湯」はその伝統を今も引き継いでいます。さらに我々はお茶の文化が混ざり合うのを愉しむことができます。

Q:海を渡ると日本の商品は高価になりますが、お客様の反応は?
A:フランスまで送るとなると、船賃がかかって、とても高くなるけれど、それでもセンスが
良くて長持ちするからという方々もいます。
我々が今住んでいる世界では、皆簡単にものを買ってすぐ捨てる。多くの人々が、現実にはどうにもならないが、安物を探してしまう。我々は大量に消費してゴミにしてしまう。
けれども、そうゆうやり方が良くないという人々もいて、高価なもので今は変えないけれど、いつかは買ってみたいと、どれにしようかと物色しているお客様もいます。

Q:日本製以外のコピー商品も出ていますね?
A:鉄急須は、日本の伝統を象徴するものです。
日本の緑茶は、日本の鉄急須で。と考える人々もいます。
私は、日本の伝統のもとでの、西洋の視点と東洋の技が大事だと思っています。
我々の求める鉄急須は、二つの文化交流を表現するものです。

この二つの文化の交流の表現として、「カラー急須」は生まれたのです。
彼らの日本への想いは、色の選び方にも表れています。
うるし赤・藍ブルー・灰緑・青沼色・からし色・絹銀色・・・
(なかでも、象牙色は難しかった・・・)
ビビットなトレンド色というよりも、しっとりとした意味のある和の色を好んでいると感じます。

海外の方々は、アフタヌーンティの時間をゆっくりと取ります。
輸出用の急須はサイズも大きく、1ℓクラスのものもあります。
一度温まったら、冷めにくいという鉄鋳物の素材は彼らのライフスタイルにマッチしたのです。冷めにくいというのは、鉄の厚みがあることを意味していて、つまり重いわけです。
彼らは、軽くて扱いやすいことよりも、あたたかいお茶をゆっくり飲める時間を好んでいます。

鉄鋳物の急須は、ほぼ壊れない。これも遠く海外に渡るときの重要なポイントです。
そして、使い込めば使い込むほど、アンティークとしての価値を持つことも彼らは理解しています。
私たちは40年以上輸出をしていますので、もしかして40年間鉄急須を愛用してくれている外国の皆さんがいるかもしれません。
これからも「海を渡る鉄急須は、文化交流の証」という心を忘れずに作っていきたいと思います。

そうそう、5年ほど前でしょうか、OIGENファクトリーショップに、フランスのセーヌ川でレスキューをしているという若い女性がいらっしゃいました。
彼女が鉄急須を見ていたので「お好きですか?」と訪ねましたら「これを見ていると瞑想ができます」と。
又、ある方には、「鉄急須があると、遠くの日本を想像できる」と言われたこともあります。

私たちが普段当たり前に作っている鉄急須は、素晴らしい文化交流を生んでいたのです。

OIGENファクトリーショップでは、わずかではありますがカラー急須も展示しております。
お客様からのご注文の際に少し残った商品や、サンプルの商品等です。
ショップにお越しの際には、異文化にも触れていただけたら幸いです。


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