「刻印」とは、鉄鍋や鉄瓶、鉄急須の裏や底面部裏など、製品自体に鋳込まれた屋号印またはロゴマーク*のことです。現在、「南部盛栄堂」が1種類と「OIGEN」が2種類の合計3種類の刻印が主に使われています。製品の刻印だけでなく、カタログなどでの押し印としての使われ方の変遷も含めてご紹介します。
*自社のものと他社のものを区別するための商標とも言います。
目次
- 「南部盛栄堂」は創業時から150年続いた旧屋号
- 21世紀、社名「オイゲン」を刻み始める
- 2015年、屋号を正式に「OIGEN」へ、現ロゴマークへ刷新
- これまでの100年に「南部盛栄堂」、これからの100年に「OIGEN」を
- [まとめ]及源鋳造|OIGENの三種類の刻印
「南部盛栄堂」は創業時から150年続いた旧屋号
19世紀中頃の創業以来、平成の時代まで、現・及源鋳造株式会社は南部鍋釜鉄瓶製造元「及川源十郎鋳造所」または「及源鋳造所」という社名の元、 「南部盛栄堂」という屋号で親しまれてきました。昭和22年に及源鋳造株式会社と社名改名後も、屋号である「南部盛栄堂」は変わらず維持してきました。その間、製品には屋号である「南部盛栄堂」が刻印されて、当時のカタログなどにも押し印されてきました。
大正15年(1926年)のカタログ
昭和半ば頃(1970年頃)のカタログ
商品に鋳込まれた「南部盛栄堂」のロゴマーク
21世紀、社名「オイゲン」を刻み始める
約四半世紀前の平成の中頃、それまで製造してきた家庭用鍋釜とは一線を画すアウトドア南部鉄器シリーズ『天火』*の開発・発売を機に、自社名「及源(オイゲン)」を初めて製品に刻印することに。多様化するライフスタイルに応えるべく、新たな商品開発に果敢に挑戦していた時期でもありました。従来の屋号「南部盛栄堂」という名やマークの字体に、進化しようとするブランドのイメージや意匠の方向性とのズレを感じ始めた頃でもあります。また、若い年齢層のお客様の中に、「南部盛栄堂」という刻印の読解が難しいという声があることも聞こえ始めていたことにも後押しされ、一部製品やカタログにローマ字表記の「OIGEN」を使い始めたのです。
*後記の通り、現ロゴマークデザインの「OIGEN」が2015年に導入されました。しかし、歴史的転機を象徴するアウトドア南部鉄器シリーズ『天火』には、旧ロゴマークの刻印をあえて残しています。
ダッチオーブン天火シリーズ|グリルスキレット24cm
平成17年(2005年)のカタログ
2000年代初頭~2015年までに開発された商品に鋳込まれていたロゴマーク「OIGEN」*。
*2025年4月現在も刻印の入れ替えを行っているため、意図的に残している『天火』以外の一部商品には旧「OIGEN」ロゴマークが残っているケースがあります。
2015年、屋号を正式に「OIGEN」へ、現ロゴマークへ刷新
2000年代初頭から本格的に海外展開を進める中で、2015年には新たなブランディング戦略を打ち出していくことに。CI(コーポレートアイデンティティ)開発に取り組み、一部的に使用していたローマ字の「OIGEN」を、屋号として本格的に使用することが決定しました。それ受けて、製品に鋳込まれる刻印にはじまり、カタログ、ウェブサイトなどあらゆる媒体に刻まれるロゴマーク一式が刷新されました。
商品に鋳込まれた新ロゴマーク「OIGEN」。その上に「CAST IRON 1852(1852年創業)」、下には「 MADE IN JAPAN(日本製)」の文字。
2016年以降に開発された茶器製品には2つのロゴマークが入っているものも。
小さな商品や、他社とのコラボ商品などは「OIGEN JAPAN」とシンプルに。
これまでの100年に「南部盛栄堂」、これからの100年に「OIGEN」を
「OIGEN」への正式な屋号変更を受けて議論されたのが、150年以上の長きに渡り屋号として親しまれてきた「南部盛栄堂」の屋号名とロゴマークについてでした。新屋号「OIGEN」が、日本国内外へ及源鋳造の南部鉄器を発信し、これからの100年を創造することが託された名前だとするならば、これまでの100年を背負ってきた「南部盛栄堂」とは何だったのか。
様々な意見が交わされる中、南部鉄瓶や急須などの伝統文化に根付く茶器に「南部盛栄堂」という名称を残してはどうかという意見が出ました。そこで、OIGENの茶器の総称に「南部盛栄堂」の使用を継続し、刻印もそのまま残すことにしました。
[まとめ]及源鋳造|OIGENの三種類の刻印
*旧「OIGEN」ロゴマークの刻印は、新デザインへの入替えを行っている最中です。主となる製品に施す刻印が統一されるまでにはもうしばらくの時間を要しますことご了承ください。
今後とも及源鋳造株式会社が造るOIGENの南部鉄器をご愛顧賜りますようお願い申し上げます。OIGEN公式オンラインショップまたは岩手工場直営店「OIGEN FACTORY SHOP」以外で弊社製品をご購入のお客様で、弊社製品か否かをご確認されたい場合は下記よりお問い合わせください。