finish / 仕上げ

及源鋳造|OIGEN製品の
表面処理仕上げについて

鉄器は型から取り出した生地の状態では“ねずみ鋳鉄”と呼ばれ、特徴的な黒色ではなく鈍く光る灰色です。その“ねずみ鋳鉄”のままだととてもサビやすく、梅雨の時期などは特に空気中の湿気でうっすらと赤くなってきてしまうほどです。そのため、「仕上げ」として表面処理をする必要があります。
及源鋳造|OIGEN製品の「仕上げ」には五種類あります。
ここでは、それぞれについて詳しく解説します。

南部鉄瓶の伝統技法を進化させた
独自開発「無塗装はだか仕上げ」は

OIGENプレミアムの証

the proof of OIGEN premium 

無塗装で仕上げる技がサビを克服

鉄という素材が避けることのできない「錆びる」というデメリット。
それを克服する知恵と技が、江戸時代から続く「釜焼き」と呼ばれる伝統技法です。
鉄は高温で加熱されると、表面に酸化皮膜と呼ばれる“膜”を形成し、鉄のさらなる腐食を防ぐ役割を果たします。
自然の摂理を活用する伝統の錆止めです。

その「釜焼き」を進化させ、より強固に緻密に施す技術を開発し、
特許を取得したのが及源鋳造株式会社(OIGEN)が独自で開発した
表面処理技法「無塗装はだか仕上げ|技術名:naked finish(ネイキッド・フィニッシュ)」です。

three features

無塗装仕上げが究極の美味しさを引き出す

3つの特長

及源鋳造独自開発「無塗装はだか仕上げ」は、これまで多くの調理器具がコーティングでしか叶えられなかったサビ止めを、無塗装で実現しただけではありません。
鉄器の料理力を最大限に、かつ自然に引き出す最適な条件を整えてくれたのです。外側はカリッと、中はじゅわっと、理想的な「焼き」の食感と食味を引き出します。

1

遮断されない「熱効果」で
外と中から同時に焼き上げる

鋳鉄の「蓄えられた熱」と「輻射熱」は、コーティング層に遮断されることなく、食材に均等に伝わります。この特性により、鉄器は「勝手に美味しくしてくれる」とプロの料理人に評価されるほどの料理力を発揮。蓄えられた熱は鉄器の表面温度を安定させ、食材を均一に調理。さらに、通常の鋳鉄の約2.5倍の「輻射熱」が空間を伝い、食材の内側までじっくりアプローチして旨味を引き出します。この2つの熱が、食材の風味と美味しさを閉じ込めます。

2

優れた「濡れ性」が
クリスピーな仕上がりを決める

「濡れ性」が高いとは、水分が物体に触れた際の濡れ広がりやすさを指す専門用語。無塗装はだか仕上げが施された鋳鉄表面は濡れ性が高く、さっと広がった水分は瞬時に蒸発します。これこそが“カリッと”の次元が違う理由です。意識して見ないと見過ごしてしまうようなディテールが生む違いに着目です。

3

使い続けるロングライフの大前提に
「安心安全」

天然の錆止めで塗装の膜がはがれ落ちる心配がなく、丈夫な「無塗装はだか仕上げ」の鉄器は長く安心して使い続けられます。通常の南部鉄器に比べて油馴染がよく、使えば使うほど錆び難くなります。漆黒色に育っていく鉄器に、「鉄は錆びる」という自然の摂理を受け取り、抗わず、寄り添いながらものづくりをした先人の知恵の凄みを感じます。

Surface treatment finish | 表面処理仕上げ

独自開発「無塗装オイル仕上げ」

「無塗装はだか仕上げ」を施した後に、さらにプレ・シーズニングと呼ばれる油慣らしをしている製品です。食用竹炭と亜麻仁油でつくられたオリジナル・オイルを焼き付ける及源鋳造の特許技法です。技術名はnaked oil finish(ネイキッド・オイル・フィニッシュ)です。

南部鉄器用カシュー塗料仕上げ

現代の南部鉄器の仕上げには、約50年前に漆の代わりとして開発された「南部鉄器用カシュー塗料」が使用されています。この塗料は、カシューナッツの殻から採れる油分と石油由来の樹脂を混合したもので、漆の供給不足を受けて、岩手県工業技術センターが塗料メーカーと共同開発しました。その後も、鉄器に適したコーティングとして長年使用されています。

及源鋳造は、この塗料だけでなく加工過程で使用する溶剤も、塗料メーカー推奨品及び使用用途を守り使用しています。また、当社のカシュー塗料仕上げの製品は食品衛生法に適合しています。

※他社メーカーではフッ素系の樹脂を表面処理用の仕上げ塗装に使用しているケースがあります。他社製品の仕上げについては当社では回答しかねます。

素焼き仕上げ

及源鋳造|OIGENの鉄瓶製作における、鉄瓶を高温(約900℃)で加熱する最終工程を「素焼き仕上げ」(※)と呼びます。これは、高温で加熱されると表面に酸化皮膜と呼ばれる防錆”膜“を形成する、鉄が元来持つ性質を利用した錆止め技法です。鉄瓶製作には欠かせない、江戸時代から続く伝統的な「釜焼き」と呼ばれる技法を基に、及源鋳造株式会社独自開発により高精度化しています。

及源鋳造|OIGENの鉄瓶の外側は、南部鉄器用カシュー仕上げまたは漆仕上げを施しますが、鉄瓶内部は「素焼き仕上げ」のままです。

※鉄鍋・鉄フライパンに施す及源鋳造独自開発「無塗装はだか仕上げ(技術名:naked finish)」と同様の仕上げ技法ですが、鉄瓶の仕上げでは「素焼き仕上げ」と名称を区別しています。

漆仕上げ

漆とは、漆の木から採取したウルシオールを主成分とする天然樹脂で、南部鉄器の産地では昔からサビ止め用に使ってきました。現在では生産量も少なく高価格なため、主に伝統的工芸品の「焼型製南部鉄瓶」に使われています。 

及源鋳造|OIGENの焼型鉄瓶職人小野竜也の鉄瓶には岩手県産の漆を使っています。

※鉄鍋・鉄フライパンに施す及源鋳造独自開発「無塗装はだか仕上げ(技術名:naked finish)」と同様の仕上げ技法ですが、鉄瓶の仕上げでは「素焼き仕上げ」と名称を区別しています。

ほうろう仕上げ

ほうろうとは、金属器の表面にガラス質のうわぐすりを施し、高温で焼きつけることで形成される滑らかなコーティングのことです。南部鉄器では急須の内面にほうろうを施しています。それを「ほうろう仕上げ」と呼びます。

ガラス質なので、つるつるとした手触りでサビに強く匂いも付きにくいのが特徴です。いろいろなお茶を、安心しておたのしみいただけます。また他の仕上げが施されている鉄器とは異なり、洗剤で洗うことができます。ほうろう仕上げの急須は、熱をかけるとほうろう部分が割れる可能性があるため、湯沸かしにはおすすめしていません。