NATURAL & WILD
つかう者の時を刻む鉄鋳物ギア

NATURAL & WILD
「鉄器」の最大の魅力とは何か−
それは、時と共に変化する鋳鉄素材のエイジングを愉しむということ。
新品ではまったく同じ鉄器でも、使い手の個性やライフスタイル、扱い方や環境によって、それぞれ違う表情へと育っていきます。時に料理を焦がしてしまったり、時にサビを浮かせてしまったりしながらも、その度に手をかけ、手を入れ、また火にかけるのです。そのやりとりで、鉄器に独特の味わいが刻まれ、ギアとしての存在感が磨かれていきます。
休日、家族と作ったキャンプ飯
友人にふるまった自慢の手料理
ゆっくり白湯を嗜む静かな朝
共に過ごした時間が、鉄に残る。使い込むほどに、鋳鉄は深みを増し、持ち主の記憶までもを焼き付けていくのです。それは、時と共に進化するギア。それこそが、鉄器の本当の価値だと、私たちは信じているのです。
鉄鋳物らしい「鉄器」を求めて
だからこそ、あえて原点に立ち返った。
軽さよりも重さを、効率よりも手応えを。
無骨さこそが美しさだと信じる鉄器づくりへ。
鉄鋳物で作られた調理器具は、分厚く重い。シーズニングやメンテナンスなど、多少の手間が必要で、決して気軽な道具ではないでしょう。けれどその分厚さは、最適な熱効果を発揮するためのものであり、歪みにも強く頼りがいある調理の道具としては欠かせないのです。
そしてその手間こそ、使い込むほどに自分の手に馴染むギアを育てる工程にほかならないのです。鉄鋳物の経年変化を支えるシーズニングも、メンテナンスも、この道具を“使い捨て”ではなく、“育てる”ものにしてくれる欠かせない手間なのです。
最近では、利便性を追い求めた鉄器が増えています。本来は工業部品に用いられる球状黒鉛鋳鉄を使い、旋盤で薄く仕上げた軽量加工や、ノンスティック加工を施した製品が主流になりつつあります。確かに使いやすいかもしれません。けれどその過程で、本来の鉄鋳物が持つ“野生”や“無骨さ”が削ぎ落とされてはいないでしょうか。
砂型で生まれるナチュラルな鋳肌、熱を纏った鉄器ならではのワイルドな手応え。それらがいつしか市場から消え、岩手のものづくりらしささえも薄れてゆく。そのことに、静かな悲しみと危機感を覚え、Natural & Wildな鉄鋳物ギアたちが生まれるきっかけとなったのです。-―“鉄鋳物らしい鉄器“をもう一度と。

NATURAL & WILD
ナチュラル&ワイルドとは
命をいただき、命を守り生きる。
かつて、山と共に生きた猟師マタギは、マタギ装束と呼ばれる山の資源や動物から作られた装備を身にまとい狩りをしていたそうです。
岩手の各地には、住居部分である母屋と馬屋が一体化した「南部曲がり屋」や、奇抜な衣装や儀式が印象的な“奇祭”も数多く残り、山岳信仰、妖怪伝説、民話、郷土食など数々の独自文化が数多く残っています。それは、どれも自然や動物と密接に関係しており、古代よりこの地に生きる人々が、大自然と共存して生きてきたことが伺えます。
Natural & Wildの鉄鋳物ギアには、自然への畏敬の念を込めて「シボ革」をモチーフにしたテクスチャを、新たなシンボルとして造形に取り込みました。「シボ革模様」です。南部鉄瓶の職人技を象徴するアラレ模様のように、OIGENの無骨で力強い鉄鋳物ギアの本質を表現しています。
鉄と革
誰もが一度は手にしたことのある、エイジングを愉しむマテリアルの代表格に、革があります。中でも、使い込むほどに表情が深まる「シボ革」は、革表面の凹凸が生む陰影によって、手にする人の個性をより引き立ててくれます。この “シボ”と呼ばれるシワ模様は、人の手によって生まれ、革の素材感をいっそう豊かにする存在です。
シボ革は、鞄や靴をはじめとする服飾品はもちろん、アウトドアギアやカメラなど、暮らしの中のあらゆる道具に使われてきました。“シボ”加工された革は、その耐久性の高さから、耐火グローブや安全靴などの命を守る装備としても活用されています。また、長く使って欲しいという願いを込めたギフトとして、人と人との想いをつなぐアイテムとしても選ばれています。
鉄もまた、革と同じく、時とともに育つ素材です。シボ革に見られる自然な凹凸の表情をモチーフにし、新たな意匠として、「シボ革模様」を鉄鋳物に取り入れました。それは、自然の中にある力強さと美しさへのオマージュです。
シボ革模様
南部鉄器は主に砂を使って鋳型を作ります。すなわち模様を鋳込む場合、鋳型(雌型) は凹ませて作るので、模様の原型(雄型) は凸になります。基本的な模様の制作方法として、石膏の逆彫りによって模様の石膏型を作り、そこに樹脂を流し込み模様の模型を作ります。それを製品の原型に貼り付けて制作します。逆彫りとはモチーフのアウトラインに沿って、素材を彫り下げる技法です。
しかし、シボ革模様を再現するには細かい凹凸が複雑に絡み合っているため、従来の模様制作の方法では不可能でした。新たな手法として3D 触感デバイスを用いたシボ革模様のモデリングに取り組みましたが、鋳造するためのシボ革模様の原型は、デジタルテクノロジーを用いただけでは容易にできず、最終的に工場の職人と共に手作業も加え、試行錯誤を繰り返しながら、シボ革模様を施した鉄器は完成しました。
作り手も愉しむ、ナチュラル& ワイルドなプロダクト
いいモノとは何か−
それは、作り手も愉しんで作られたモノだと思います。
作り手も使い手も愉しむ、Natural & Wildな鉄器のご紹介です。
室内外問わず、火さえあればどこでも手軽に調理ができるホットサンドクッカーは、便利なモノか不便なモノ、オシャレなモノかダサいモノなどという選定基準からも逸脱した、子供から大人まで皆で愉しめる、初めてシボ革模様が施された鉄器として誕生しました。
湯沸かし道具WAKKAS( ワッカス) は、蓋にはシボ革模様を施し、注ぎ口に発生する見切り線(鋳型の分割線)を、おいてこい技法により無くなったことで、シームレスなフォルムを実現しました。ツル( 持ち手の部分) は、伝統的な南部鉄瓶同様に鍛造職人によって一つ一つ丁寧に作られており、新旧問わず鉄瓶作りの匠の技をふんだんに詰めこんだ、独創性あふれる鉄鋳物の湯沸かし道具です。
南部鉄瓶の伝統的な金気止め技法、釜焼きを応用して開発されたnaked finish で仕上げられたSOLTTO( ソリット) は、無塗装で接続パーツも一切使われていない鋳鉄100% のナチュラル& ワイルドを代表する、育て甲斐のある一生モノのスキレットです。ハンドルにシボ革模様を施すことで、手に熱さが伝わりにくく、滑り止めの効果も発揮します。
北上山地をモチーフに、凹凸のあるシボ革模様とあられ模様がデフォルメされたパターンを施したマウンテンズプレートは、カジュアル& ワイルドなトリベットです。お手持ちのスキレットやケトルはもちろんのこと、今回ご紹介したプロダクトとの相性も抜群です。