知識鉄器の赤サビと黒サビ

鉄器の赤サビと黒サビ

「鉄は錆びやすい金属でしょう?だから、鉄器を使うのは厄介だ。」 そう思われる方々も多いようです。しかし、大前提としてお伝えしておきたいことがあります。ここで感じる「厄介」の原因のほとんどは[赤サビ]だということを。 サビには大きく分けて、赤茶けた[赤サビ]と[黒サビ]の二種類があります。[赤サビ]とは、みなさんが想像するいわゆるサビです。腐食が進行すると鉄器の表面がボロボロと傷み、穴さえも開...

想い半世紀の鉄鍋-サステナブルの真意

半世紀の鉄鍋-サステナブルの真意

OIGENの数ある商品ラインアップの中でも、主力の鉄鍋を半世紀以上にわたってデザインし、カタチにしてきた金属工芸家の廣瀨愼氏に、永い間使い続けてきた鉄鍋たちを見せてもらったことがある。         再生した鉄鍋 上の写真の左に堂々と写っているのは、「デザインのOIGEN」の名を世に広めた鉄鍋『クックトップ』シリーズの丸深形24cm*。 「この鍋は今から約50年前に作ったのね。発売当...

歴史・風土南部鉄器の老舗「及源鋳造」 約90年前の創業家・及川家

南部鉄器の老舗「及源鋳造」 約90年前の創業家・及川家

南部鉄器の老舗「及源鋳造」 約90年前の創業家・及川家 上の写真で左にいる鉄瓶の蓋を頭に載せて喜んでいる少年が、約90年前の及源鋳造の現会長・及川源悦郎、現代表・及川久仁子の父です。その会長が、こんなに小さかった頃の暮らしを聞いてみました。 「食事は鉄羽釜で炊いたご飯と、鉄鍋で似たお煮しめ、鉄鍋で作ったお汁。時には煮魚もあったな…。鉄羽釜のご飯は、鉄竈で炊いていた。 ―うん? 「そう。当時...

歴史・風土水沢の南部鉄急須

水沢の南部鉄急須

水沢で生まれた南部鉄急須 保温性が高く、優れたデザイン性を持つ南部鉄器の鉄急須。鉄器の中でも特に気軽に使用できることから、日本のみならず海外でも人気のある商品です。 急須は茶器。そのため、茶道具や贈答品として発展してきた盛岡の鋳物から発祥したイメージを持ちますが、「実は鉄急須は水沢にもある」。 そう話すのは、OIGEN会長の及川源悦郎さん。なぜ鍋や釜など民衆品として発展してきた水沢に...

知識湯が美味しくなる立役者「湯垢」-育てて使う、鉄の湯沸かし道具の流儀

湯が美味しくなる立役者「湯垢」-育てて使う、鉄の湯沸かし道具の流儀

鉄瓶に宿る「湯垢」。お湯を沸かす度に、鉄瓶の中に育つ白い膜「湯垢」は、鉄の宿命でもある赤サビを防ぐだけでなく、お湯の味をまろやかにする効果を発揮します。「湯垢」は、人と鉄の道具が長く付き合ってきた証であり、「鉄は錆びる」という自然の摂理に寄り添う、日本人の生活の工夫そのものです。   「湯垢」の正体や、「湯垢」によって”やわらかく”なるお湯の特長、「湯垢」が南部鉄瓶を赤サビから守るメカニズム...

つくり手鉄という宇宙-900年目の新しい技

鉄という宇宙-900年目の新しい技

入社して40年以上の熟練工が、事務所に置かれていた灰色をした鉄器を指差して、冗談交じりに言った。 「この鍋は親父のプレゼント。」 小学校3年生の時、「親父に化石を探しに行くぞって言われて川辺に探しに行ったの。木の端っこみたいなのが流れてきて、投げてみるとカチっと音がするわけ。『とおちゃん木だよね?』って聞いたら、木が石になった化石だって。」 不思議で仕方なかった。それ以来、少年は石集めに夢中...